スペイン・ラ・リーガで確かな実績を積み上げている久保建英選手。レアル・ソシエダでのプレーも3シーズン目に入り、クラブの主力として欠かせない存在となった。チャンピオンズリーグの舞台でも輝きを放ち、リーグ屈指のアタッカーとしての評価を確立している。しかし、彼の活躍が続く中で、次のステップとしてビッグクラブへの移籍が現実味を帯び始めている。
果たして、久保選手のビッグクラブ移籍は現実的なものなのか?移籍が成立するための条件、最も有力な移籍先の候補、そして今後の展望を詳しく探っていく。
久保建英選手の現状と出場データ
久保建英選手は、2022年にレアル・ソシエダへ完全移籍して以来、リーグ戦やヨーロッパの舞台でコンスタントに出場を続けている。しかし、最近の試合では出場時間が減少しているという話題も浮上している。果たして、それは戦術的な理由によるものなのか、それとも移籍の伏線なのか。まずは、久保選手の現在の出場データを見ながら、その立ち位置を整理してみよう。
出場データの詳細
2024-2025シーズンの成績(2025年3月時点)
- リーガ・エスパニョーラ:25試合出場(先発17試合・途中出場8試合)
- UEFAチャンピオンズリーグ:6試合出場(先発3試合・途中出場3試合)
- コパ・デル・レイ:4試合出場(先発2試合・途中出場2試合)
- 合計:35試合出場(先発22試合・途中出場13試合)
- ゴール数:7ゴール
- アシスト数:3アシスト
- 平均出場時間:67分
久保選手の出場時間は減少傾向にあるものの、依然としてチームの重要なアタッカーであることは間違いない。しかし、最近の試合では途中出場が増えており、彼の役割に変化が見られる。こ久建英選手の出場時間に関して、先発出場と途中出場の成績を比較すると、以下のようになります。
ポジションの変化と起用法
久保選手は基本的に右ウイング(RW)でのプレーを得意としている。しかし、今シーズンは以下のような形でポジションが変化している。
- 右ウイング(RW):20試合出場(主戦場)
- 左ウイング(LW):8試合出場(適応中)
- トップ下(AM):7試合出場(戦術的調整)
ソシエダでは、久保選手が主に右ウイングでプレーするが、オヤルサバル選手やバレネチェア選手の復帰によってポジション争いが激しくなっている。また、試合展開によっては左ウイングやトップ下での起用も見られるが、久保選手が最も力を発揮するのは右ウイングである。
途中出場が増えた
今シーズン、久保建英選手は先発出場の機会が減り、途中出場が増えている。これは単にパフォーマンスの問題ではなく、クラブの戦術的な意図、チーム内の競争、そしてクラブの移籍市場戦略など、さまざまな要因が絡んでいると考えられる。
そして、こんなデータがある。
先発出場と途中出場の成績を比較すると・・・。
先発出場時の成績:試合数: 21試合 勝敗: 10勝4分7敗 ゴール数: 4得点 アシスト数: 3アシスト
途中出場時の成績:試合数: 8試合 勝敗: 3勝5敗 ゴール数: 1得点 アシスト数: 0アシスト
久保選手の活躍を期待する身としては、このデータをみると先発起用を切望する。
なぜ途中出場が増えた?
戦術的な意図
イマノル・アルグアシル監督は、強力なプレスと組織的なビルドアップを基盤としたチーム作りを進めています。
イマノル・アルグアシル監督が目指すチーム像は?
ハイプレスと即時奪回
アルグアシル監督のチーム作りの核となるのは、「プレスの怪物」とも称される強力なプレッシング戦術です。ボールを失った際には即座にカウンタープレスを仕掛け、高い位置でのボール奪取を目指します。この戦術は、相手の攻撃を未然に防ぎ、自チームの攻撃回数を増やす効果があります。
ポゼッションとポジショナルプレーの徹底
さらに、攻撃面では「サリーダ・デ・バロン」と呼ばれるビルドアップ戦術を駆使し、GKから丁寧にボールをつなぎ、組織的に攻撃を展開します。この戦術は、選手間の高い連携と戦術理解度が求められます。
このスタイルの中で、久保建英選手は見事に適合していると思われていましたが、完璧にフィットしているとは言えないのかもしれません。むしろ、ここ最近の試合で途中出場が増えている背景には、久保選手のプレースタイルと監督の求める戦術にズレがある可能性がある。
ソシエダは、ボールを持たない時間でも「守備でゲームを支配する」ことを理想としており、選手には戦術理解力、ポジショニングの正確さ、そしてフィジカル的な強度が求められる。
久保建英選手は戦術にハマっているのか?
久保選手は、技術的にはアルグアシル監督のサッカーに適応できる要素を持っているが、いくつかの点で課題もある。
◎ 久保選手がハマっている要素
- ボールを扱う技術の高さ → ソシエダのポゼッション戦術にフィット。
- 守備意識の向上 → 以前よりもプレスの意識は高まり、献身的なプレーが見られる。
- ドリブル突破力 → 低い位置からでもボールを運べる能力がある。
△ 久保選手がハマっていない要素
- フィジカルの強度不足 → ハイプレス時に相手DFと競り合う場面で押し負けることがある。
- プレースピードの問題 → 監督は「素早いパス回し」を求めるが、久保選手は時にボールを持ちすぎる傾向がある。
- ポジショナルプレーの精度 → ウイングとして求められるポジショニングが固定的で、プレーの自由度が制限されている。
つまり、久保選手は戦術に完全に合わないわけではないが、「彼のプレースタイルを最大限に活かせるシステムではない?!」のかもれない。
競争の激化
レアル・ソシエダにおける久保建英選手の出場機会が限定されるもう1つの要因として、チーム内でのポジション争いの激化が挙げられます。特に、エースであり主将でもあるミケル・オヤルサバル選手の復帰は、チーム内の競争を一層厳しいものにしています。
オヤルサバル選手の復帰と影響
オヤルサバル選手は、2022年3月に左膝の前十字靭帯を断裂し、長期離脱を余儀なくされましたが、約9ヶ月のリハビリを経て復帰しました。 彼の復帰は、チームの攻撃力を高める一方で、同じポジションを争う選手たちにとっては熾烈な競争を意味します。
右ウイングのスタメンが固定化:久保選手の立場が揺らぐ
久保選手はこれまで主に右ウイング(RW)のポジションでプレーしてきた。このポジションで彼は、攻撃の起点となり、カットインやドリブルでチャンスを作る役割を担っていた。しかし、今シーズンに入って右ウイングのスタメンが固定化し、久保選手の序列が変わりつつある。
オヤルサバル選手の復帰が影響
オヤルサバル選手は本来、**左ウイング(LW)**が主戦場の選手だが、最近では右ウイング(RW)やセンターフォワード(CF)でも起用されている。
監督はオヤルサバル選手をできる限りピッチに立たせるため、フォーメーションや役割を柔軟に変更。結果的に、久保選手が右ウイングで絶対的なスタメンではなくなった。
オヤルサバル選手はクラブの象徴的な存在であり、チーム内での発言力も強い。そのため、監督としても彼を優先的に起用する意向があると考えられる。
この状況により、久保選手は右ウイングのスタメンを確保するのが難しくなっている。
左ウイング(LW)やトップ下(AMF)での適応を求められているが…
久保選手は、チーム内の戦術的な柔軟性を持たせるために、左ウイング(LW)やトップ下(AMF)としての起用も試されている。しかし、これらのポジションは久保選手にとって最適とは言い切れず、適応に苦しんでいるのが現状だ。
左ウイング(LW)でのプレー
- 監督は、右ウイングにオヤルサバル選手やブライス・メンデス選手を配置する際、久保選手を左ウイング(LW)で起用することが増えている。
- しかし、久保選手は本来、右足でのカットインを得意とする選手であり、左サイドでは縦に仕掛けるプレーが制限される。
- ソシエダの左サイドはバレネチェア選手やオヤルサバル選手が主に担当しており、久保選手が左サイドで定位置を確保するのは簡単ではない。
トップ下(AMF)でのプレー
久保選手は、試合によってトップ下(AMF)で起用されることもあるが、 - ソシエダの戦術では、トップ下の選手は「ゲームメイク」よりも「セカンドストライカー的な役割」を求められることが多い。 - 久保選手はシュートセンスもあるが、本来はボールを持って仕掛けるスタイルが得意なため、トップ下での役割が必ずしもフィットするとは言えない。
久保建英選手のビッグクラブ移籍はあるのか?
久保建英選手が次のステップとしてビッグクラブへの移籍を果たす可能性は十分にある。しかし、その実現には複数の要素が絡み合うため、単に「オファーがあれば成立する」というわけではない。ここでは、移籍が実現する可能性が高い条件、移籍先の候補、役割、移籍金、タイミングなどを詳しく考察していく。
移籍が実現するための条件
久保建英選手がビッグクラブへ移籍するためには、いくつかの重要な要素が絡んでくる。その中でも特に大きなポイントとなるのは、移籍金の問題、監督やクラブの戦術との相性、ポジション争いの状況、そして移籍市場のタイミングの4点だ。
まず、最も現実的な障壁となるのが移籍金の高さだ。久保選手の契約には約6000万ユーロ(約97億円)のバイアウト条項が設定されていると報じられている。この額を満額支払うクラブがあるかどうかが、移籍の可能性を大きく左右する。プレミアリーグのクラブであれば、比較的この金額を支払う余裕があるが、ラ・リーガのクラブでは財政的に厳しく、獲得できるチームは限られてくる。バルセロナやアトレティコ・マドリードが関心を示していたとしても、実際にオファーを出せるかは不透明だ。そのため、プレミアリーグへの移籍がより現実的な選択肢となる。
次に、移籍先の監督やクラブの戦術との相性も重要なポイントになる。久保選手は、ボールを保持しながらゲームを組み立て、ドリブルやパスで攻撃を作るプレースタイルを持つ。そのため、ポゼッション志向の強いクラブや監督の下であれば、より活躍できる可能性が高い。一方で、縦に速い攻撃を重視し、フィジカルやスピードを求める戦術では、適応に苦労する可能性がある。例えば、アーセナルのアルテタ監督の戦術は久保選手にとって相性が良いと考えられるが、リヴァプールのようにハイプレスと速攻を重視するスタイルでは、適応に時間がかかるかもしれない。
また、移籍先のポジション争いの状況も大きなポイントとなる。ビッグクラブではどのポジションにもワールドクラスの選手が揃っており、レギュラー争いは熾烈だ。例えば、マンチェスター・ユナイテッドでは右ウイングのポジションが空いており、久保選手が即戦力として活躍する可能性が高い。一方で、アーセナルではブカヨ・サカ選手という絶対的な右ウイングがいるため、出場機会を確保するのが難しくなるかもしれない。こうしたチームの編成状況を見極めることも、移籍成功のカギとなる。
最後に、移籍市場のタイミングも見逃せない要素だ。2024年夏の移籍市場では、多くのビッグクラブがウイングの補強を検討しているが、契約状況やクラブ間の交渉次第で移籍が1年後ろ倒しになる可能性もある。特に、2025年夏になると、久保選手の契約期間が残り4年に短縮され、交渉がしやすくなるタイミングとなるため、この時期の移籍が現実的なシナリオの一つとなる。2026年のワールドカップを見据えると、その前にステップアップを果たしたいという本人の意向があれば、2025年夏の移籍が最も理想的なタイミングとなるだろう。
総合的に考えると、久保選手がビッグクラブへ移籍するためには、移籍金を支払える財政力のあるクラブであること、戦術的に適応できる環境が整っていること、ポジション争いで勝ち抜ける可能性があること、そして移籍市場のタイミングが適切であることが求められる。このすべての条件が揃ったとき、久保選手のビッグクラブ移籍は現実のものとなるだろう。
有力な移籍先の候補と期待される役割
現時点で久保選手の移籍先として最も可能性が高いのはマンチェスター・ユナイテッドだ。クラブは右ウイングの補強を急務としており、久保選手の攻撃力と戦術理解度の高さに注目している。特に、現在のユナイテッドは戦力の整理を進めており、アントニー選手の不調やジェイドン・サンチョ選手の構想外を考えると、久保選手が即戦力として起用される可能性は非常に高い。プレミアリーグのフィジカル強度に適応する課題はあるものの、パスワークを重視するエリック・テン・ハフ監督の戦術にはフィットしやすいと考えられる。
次に移籍の可能性があるのはアーセナルだ。アルテタ監督はボールポゼッションを重視し、攻撃の際にウイングが中央へ絞ってプレーする戦術を採用している。このスタイルは久保選手の特性と合致しており、チームにスムーズに適応できるだろう。しかし、アーセナルにはブカヨ・サカ選手という絶対的な右ウイングの存在があり、久保選手はローテーション要員としてのスタートが予想される。そのため、ユナイテッドと比較すると、出場機会を確保する難易度がやや高い。
さらに、リヴァプールも興味深い選択肢の一つだ。モハメド・サラー選手が移籍する可能性が取り沙汰される中、その後継者となる選手を探している。サラー選手の代役となれば大きな期待を背負うことになるが、リヴァプールのハイプレス戦術に適応するためには、守備強度とフィジカル面のさらなる強化が必要となる。プレミアリーグ特有の速い展開に対応できるかが鍵となるが、もし成功すれば世界的な評価を一気に高めるチャンスとなる。
ラ・リーガでの移籍候補としては、アトレティコ・マドリードが挙げられる。ディエゴ・シメオネ監督の下で、近年は攻撃的なスタイルへのシフトが進んでおり、久保選手にとっても適応しやすい環境が整ってきている。ただし、アトレティコのプレースタイルは依然として守備のタスクが多く、久保選手の本来の持ち味である攻撃面が制限される可能性もある。スペイン国内での評価はすでに確立されているため、挑戦する価値は十分にあるが、本人がさらなる成長を求めるならプレミアリーグへの移籍の方が有利かもしれない。
バルセロナへの復帰が話題に上がることもあるが、クラブの財政状況が悪化している現状では、久保選手に対して高額な移籍金を支払う余裕があるとは考えにくい。さらに、右ウイングにはヤマル選手やラフィーニャ選手がいるため、出場機会を確保するのは容易ではない。バルセロナのプレースタイル自体は久保選手に適しているが、現実的な移籍先としては可能性が低いと言えるだろう。
移籍のタイミングと条件
現時点で最も現実的な移籍時期は2025年夏だ。契約が2029年まで残っているため、2024年夏に移籍する場合はソシエダ側が高額な移籍金を要求する可能性が高く、現実的には2025年の市場でより交渉が活発化すると考えられる。
また、移籍金は最低6000万ユーロ(約97億円)に設定されており、プレミアリーグのクラブなら十分に支払える額だが、ラ・リーガのクラブでは財政的に厳しい可能性がある。年俸に関しても、プレミア移籍なら現在の約4.1億円から6億~10億円程度に増額される可能性が高い。
久保選手の未来は?結論
現状を踏まえると、久保選手の移籍は2025年夏にプレミアリーグのクラブ、特にマンチェスター・ユナイテッドかアーセナルへの移籍が最も有力だと考えられる。プレースタイルの適性、出場機会の確保、移籍金の支払い能力を総合的に考慮すると、プレミアへの挑戦が現実的な選択肢となるだろう。
ラ・リーガに残る可能性もゼロではないが、アトレティコ・マドリードの守備的なタスクやバルセロナの財政問題を考えると、スペイン国内での移籍よりもプレミアリーグでの新たな挑戦が本人にとっても有益な選択肢となる。
今後の成長とともに、久保選手がどのクラブを選び、どの舞台でプレーするのか、今後の移籍市場の動向を注視していきたい。

